DXの底流

4/23、4/24の2日間にわたり、総合地球環境学研究所(通称、地球研)の創立20周年イベントが開催された。シンポジウムは、「人新世における総合地球環境学の未来」と題して行われました。

ところで、昨年9月に本ブログで、山際寿一、養老孟司共著「虫とゴリラ」のメモを紹介しました。当時、京都大学総長であった山際寿一さんはこの4月より地球研の所長に着任しました。

このイベントをオンラインで視聴しました、ありがとうございます。

以下では、山極所長のコメントの一部を紹介します。

 

カーボンニュートラルで、自然は大丈夫という風潮があるが、人間は自然をコントロールできないのでは」

 

「地球の半径は6300km、だけど生き物が住んでいるのは、地中10km、空中20kmのみであり常に危うい。

地球環境を立て直すには、地域を立て直さなければいけない。
地球と地域の2重の意識を持つことが大事。

地球全体のために、地域を滅ぼしてはいけない。

まったく逆で、地域を盛り立てるために、地球全体が協力していかなければならない。そして、地域の自然と文化を守っていく。」


「今、日本が抱えている問題は少子高齢化と過疎である、とよく言われる。
しかし、明治維新の時の日本の人口はわずか3,500万人だった。今後2,100年でも9,000から8,000万人と言われている。つまり何も恐れることはない。東京の人口もようやく転出超となり、地方、つまり地域の時代がやってくる。

それは環境に対する認識が変わったからである。いわゆるコロナによるものである。
そして、労働、お金の回り方、人生観、そういうもの全ての価値が変わりつつある。」


「グローバルな環境問題は、先進国と発展途上国の格差を変えることになるかもしれないと言われている。

良質な環境を持っているのは、実は発展途上国である。それが地球全体の財産であり、それをきちんと維持し発展させていかなければ、地球環境の改善はない。
そのためにも価値観を変えなければいけない。地域から新たな発展と価値を生み出さなければいけない。

例えば、日本人が平地に住みはじめたのは比較的新しい、ほとんど山に住んでいた。それが米作が始まり、江戸幕府が水田を奨励し人口が2倍に増えたが、所詮それだけ。そしてそうした平野は人間が住む場所に適していない。そこに鉄筋コンクリートで都市を作り上げ、人間以外の生物が殆ど住んでいないから、極めて効率的、生産的な物ばっかりを目指す、ロボット的な人間像になってしまった。
近くにいろんな生き物が暮らしていれば、その生き物の気配や、生き物と自分との関係が間近に見える、身近に見える、そういうところに人間は生きていないと、やっぱり生きる意欲が湧かないんじゃないかと思う。それは動物だけではなく植物でも同じである。
科学技術というのはまさにそういう暮らしのために役立てなけれないけない、今は我々は科学技術に奉仕している時代、技術が政治を作っている、逆でしょ! 経済も技術も暮らしを作るために役立てるべきであって、今は全く逆の方向に向かっているような気がする。その方向性を変えないといけない、それが今、時代が直面している転換期なんだと思う。世界を変えないといけない。」