自分の頭で考える日本の論点

立命館アジア太平洋大学 出口治明 学長の最新書「自分の頭で考える日本の論点」を読みました。

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これに倣って、自分が最近気になる3つほどの論点を記す。


【論点1】言論の自由
 
言論の自由と言うと、自由は、とかく言論側だけを意識しがちであるが、聴く側のことはどうなっているのか?受け手側の権利をハッキリさせるべきである。
例えば、テレビ放送では意見が対立することなく、視点が限られる傾向にある。
既に実施しているNHKに続き民放キー局5社も10月から番組をネットでも同時配信する。
以下に放送法第4条を抜粋した。テレビ放送はネットも含め、視点が失われている放送法第4条4項を遵守頂きたいものである。ある著名人は、これを受け手側の認識の権利であると言っている。


(抜粋)放送法第4条
第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
 
【論点2】赤字国債
 
日本国は借金をしているので、消費税を徴収し返さなければならないという論点では、以下の3つの論点から議論されるべきである。


現在の国の借金は、日本政府の借金であって、日本国民の借金ではない。
政府は国民から借金したのであって、国民はいずれ返してもらう立場

しかしながら、いつの間にか日本国民の借金と刷り込むようになり、その借金を財政健全化と称し、少しでも減らすように平成元年(1989年)以降、消費税が導入された。今や赤字国債は1,200兆円を超え膨れ上がった。
国の貸借対照表を見ると、この政府の借金に対し、約600兆円の国有資産もある。
財政健全化のために借金を返済したいのであれば、消費税増税の前に、例えば土地、米国債等を売却するという解決策もある。


現代貨幣理論(MMT)では、国が自国の貨幣のみを発行し、税の支払いを自国の通貨に限定している状態では、国は財政破綻することはない。しかしながら、過度の発行はインフレとなるので注意が必要。
そういう意味では、過去にデフォルトした韓国などにはドル債務があった。EU諸国においてもユーロ、あるいは米ドルでの債務がある場合にはデフォルトの可能性があり得る。因みに我が国には外国債務は無い。
従い、以前、言われていた2%成長までは財政投資を積極的に行うという政策も有り得る。

但し、過去にも生じたことだが、財政投資が一部に集中したり、あるいは特権が生じないようにしなければならない。


・現在、貨幣(紙幣)の発行は日銀であり、紙幣発行に際し、政府は日銀に利息を支払う必要がある。
現在検討されている今後のデジタル円の発行では、日銀ではなく政府が発行したらどうだろうか。それにより発行したデジタル円では利息は要らない。従来からの日銀への利息に対しては政府がデジタル円を無理なく継続的に発行し国民に売却していくことで利息を解消していくことが可能となる。
これは重要な財政健全化策になり得る。

 


【論点3】ベーシック・インカム
 
いつしか、ベーシックインカムが議論されるようになったが、財源はどうするのだろうか?
それよりも、働かなくても金をあげることは、人間を駄目にする、国を駄目にすることにならないか。
世界の全ての国で一律に否定するものではないが、日本には不要であろう。