「イノベーションはいかに起こすか」、「DXとは何か」坂村健

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以下は読書メモです。

イノベーションの意味するところは、経済活動において利益を生むための差を新たに作る行為である。
イノベーションは技術だけではない。インターネットは、コミュニケーションの極端な低コスト化を可能にした。
政府は、イノベーションが起きやすい環境の整備に力を入れるべきである。この環境に当たるものがインターネットの考え方をあらゆるレベルに拡張した、ネット時代のオープンな情報基盤である。政府が持つデータをオープンにすることで、官民の融合を促進すべきである。
イノベーションに成功するためには回数を増やし、何度も何度も挑戦するというやり方しかない。


・AI・IoT時代で大切なことは、変化の本質を見誤らないこと。
・変化の本質は、オープン、マッシュアップ、ベストエフォートという3つにある。
・オープンは、インターネットの世界での考え方そのものであり、AI・IoT時代においても同様である。
また、シェアという考えで成り立つビジネスモデルの構築も、1つの活路になるだろう。そしてこういうものをオープンな基盤の上に作られて初めて成功する。
マッシュアップは、異なるコンテンツや技術を組み合わせて新しいサービスを作るものである。ネットワーク技術が進化した現在、一人でできなかったことも、いろいろな人とネットワーキングすることで、新しいサービスを作り出すことが簡単に出来る。
・ベストエフォートとは、可能なかぎり努力をするが、結果は保証しないということ。インターネットは典型的なベストエフォートであり、IoTもベストエフォート型でないと、イノベーションや新しいビジネスモデル創出につながらない。
・守るべきプライバシーとは何か。プライバシーの行き過ぎは、そういう人が公共に貢献する権利を奪うという見方もある。マイナンバーの意味するのは、名前プラス住所と同程度。それくらいの秘密性しかないということを行政は強くアピールした方がよい。まるで銀行口座の暗証番号かそれ以上のように、誰かに知られたら大変なことになる番号のようなイメージになってしまっている。逆に国民であることを証明するための番号であり、付与されて公に国民であることが認められるためのものである。


・日本では、DXを単なるデジタル化や情報化を言い換えた、バズワードと誤解する向きもあるが、例えば、ファクシミリを電子メールにするのは単なるデジタル化であり、報告するというやり方自体を見直すのがDXである。
・RPAは業務のやり方を変えないため、単なるカイゼンに過ぎず、DXではない。日本の真のデジタル化は、RPAを捨てる決断をしたところから始まる。
・情報処理系のO Sと組み込み系OSでは、OSとしての基本機能である最小単位の仕事の締め切りを決めるスケジューリングの機能が全く異なる作りになっており、完全に別系統のOSである。
・人が書いた使えそうなオープンなソフトをまず使い、それをちょっと手直ししながら完成させていくというようなアジャイル、小さな単位から素早くプログラムをはじめ、サイクルを何回も回し完成に近づけるというような開発手法が最先端になってきている。