日本の潜在力

「未来の大国」(浜田和幸著 祥伝社)よりの抜粋

 

日本は世界有数の海洋大国である。排他的経済水域EEZ)の面積は447万㎢で世界第6位である。
海流や海底地形のおかげで、日本近海は水産資源の宝庫である。漁獲量が多いだけでなく、魚種の多さでは世界でもトップクラスなのだ。


また、国土の75%が森林であることも大きな特徴だ。これは日本が豊かな水に恵まれていることと密接に関係している。北海道の土地を、中国が水資源地として買いあさることが問題になったように、日本の水は何としても手に入れたい魅力ある資源なのである。


日本はかつて、資源のない国、資源を外国から輸入、加工して製品を輸出する加工貿易の国と言われてきたが、ここにきて、広大な排他的経済水域の海底には、とても重要な2つの資源が眠っていることが発見された。それがメタンハイドレートレアアース泥である。この財産を活用できるかどうかが、これからの日本の命運を握っていると言っても過言ではない。
 メタンハイドレートは、穴を掘れば噴出する天然ガスとは違い、水上の個体であるが故に採取の技術を開発する必要があるが、この面では日本は世界の最先端を走っている。このメタンハイドレートは日本近海に大量に存在することが発見されており、2025年〜2027年には実用化の目処がつくものと言われている。
 レアアースは、LEDやICなどの電子部品、次世代自動車の高性能モーター、小型軽量バッテリー、環境対策に必須の触媒などに使われる希土類元素のことである。テレビやスマホ、通信、輸送交通システムから、ミサイルの誘導制御システムなどの防衛装備まで、性能の鍵をレアアースが握っている。しかしながら、現状の世界のレアアース鉱床は中国に集中し、中国が産出量の97%を握るという非常にいびつな供給体制にある。そのレアアース泥が南鳥島周辺の海底で大量に発見された。この莫大な量の量のレアアース泥は、日本が資源立国へと転換する可能性を示唆している。