2030年の世界地図帳 落合陽一

 

今日もまた長〜い書き込みですみません。。この本、p304-313しか読んでいないが、この若造、大したもんです。感動しました!


「4つのデジタル・イデオロギー
アメリカン・デジタル → GAFAM・イノベーション
・チャイニーズ・デジタル → 国家・労働力・市場
・サードウェーブ・デジタル → 新興国 リープフロッグ・リバースイノベーション
・ヨーロピアン・デジタル → 歴史・思想・ブランド


ヨーロピアン・デジタルと他の地域との一番の違いは、「歴史」にある。中国は長い歴史の蓄積はあるが、文化大革命の時代に伝統文化を排除した過去があり、2000年以上の伝統を積極的にブランディングしてきた欧州には敵わない。米国は、中世末期(1776年)に建国された移民国家で、その歴史は500年余りしかない。
歴史から切り離された資本主義は歯止めが効かなくなる可能性があり、市場原理主義あるいは拝金主義の影響を受けてしまう。1950年以降、工業化の進展とともに、やはり、大量生産、大量消費のサイクルが回り始めた。だが、このサイクルに一定の距離を置いたのが欧州だった。


では、日本はどうなのか、日本が迷走している理由は何か?
日本は古来よりの独自の文化を継承し、諸外国からの文化をリミックスし、文化に入れ込んできた国であり、その点では欧州に近いと言える。しかし、現在の日本は欧州的な価値醸成に失敗している。そこには、明治維新と敗戦という二度の巨大な文化的断絶が少なからず影響していると考えられる。やがて、敗戦から高度経済成長を経る間に、日本の伝統文化は、それに坑う文化的強度も、市場のルールに便乗する狡猾さも失ってしまっていた。
1980年代以降の日本は、グローバリズムと市場原理の波に洗われ、一旦はコストと性能で勝負するが、新興国の製品に敗れることが増えてきた。


今まだGDPが3位の経済大国である間に、考えておかなければいけないことがたくさんあると思う。
伝統文化とその価値の継承が途絶えつつある日本で、ヨーロピアン・デジタル型の高い付加価値を持つ産業を興す可能性を探ることで、コアとなる価値を探していく必要があると考える。
そしてその鍵は、欧州、米国、中国の3極の中間点で熟成する「デジタル発酵」にあると考える。3極の中間点で独自の通貨と市場を維持しながら、文化とテクノロジーの両輪で付加価値を上げていくアプローチ。これがグローバル経済の中で現実的な解のひとつかもしれない。